海友舎の遍歴

旧海軍時代の海友舎は、主に海軍兵学校の教師らが、将棋や玉突きなど、余暇を過ごす社交クラブとして使用されていました。

 

1948 年、海友舎は民間に払い下げられ、健康器具販売の会社を立ち上げた元海軍士官の 2 人が購入します。戦後、医療が不足していた日本において、その会社は重要な役割を果たしました。以来、海友舎はその会社事務所として使用され続けてきました。そのため建物の保存状況は現在も良好に保たれています。

 

また戦争後すぐは、戦争未亡人のような地域住民への職業普及事業の一環として、洋裁教室の場としても使用されたといいます。海友舎は、日本の戦後復興の象徴でもあったのです。

 

2012 年 9 月に、海友舎を使用していた事務所が江田島から撤退。所有者は江田島市に、市民が使える場所として買い取りを申し出ましたが、江田島市は厳しい財政状況を理由にこれを断りました。

 

2012年10月、保存活用を望む島内外の有志メンバーが集い、所有者のご厚意と地元の方々のご協力により、ぐるぐる海友舎プロジェクトが発足。民間で建物を保存活用する取り組みをおこなっています。2020年2月に特定非営利活動法人として認証されました。